ブリティッシュ・コロンビア州のワイナリー
産地情報
ブリティッシュコロンビア州(BC州)は、オンタリオ州と並び、カナダで最もワイン生産が盛んな州の一つです。BC州のワイン産地は、北緯49°付近に位置します。北半球のワイン産地の多くは北緯30°~50°の間に位置しますので、緯度的にはワイン産地としての北限に近いといえます。ブドウ栽培には厳しそうな環境に思えますが、育成期の気候は温暖で、また高緯度なため日照時間が非常に長く、より強い日照を享受します。育成期間は短めですが、それでもしっかりブドウが熟すことのできる条件が整っているのです。BC州の産地は南北に長かったり、島にあったりと、様々な条件の産地があるため、それぞれの特色を活かして、世界の産地でも稀なほど多様な品種・スタイルのワインが造られています。
全般的な特徴としては、冷涼産地特有のクリーンな果実味とのびやかな酸味のあるワインが多く造られますが、例えば、主要産地であるオカナガン渓谷やシミルカミーン渓谷が位置するあたりは、カナダ国内唯一の砂漠地帯であるため、南部では夏の日中の最高気温が40℃に達する日もあるほど暑くなる場所もあり、このような地域ではより力強さのあるワインも造られています。
- 緯度: 北緯 48°- 51°
- ブドウ作付面積: 11,086エーカー(4,486ヘクタール)
- ワイナリー数:284
BC VQA
ブリティッシュコロンビア州にもオンタリオ州同様、「VQA (Vintners Quality Alliance)」という独自のワインの品質管理協定システムがあり、ワインの品質を保っています。ブリティッシュコロンビア州のVQAワインと認められるのは、ブリティッシュコロンビア産のブドウを100%使って造られるワインのみです。場所や土壌の特徴によって大きく5つの産地(アペラシオン)に分かれています。
ブリティッシュコロンビア州の産地
オカナガン渓谷、シミルカミーン渓谷、フレーザー渓谷、バンクーバー島、ガルフ諸島の5つに区分されています。
(1)オカナガン渓谷 ― Okanagan Valley
オカナガン渓谷はBC州最大の産地で、オンタリオ州のナイアガラ地方と並び、カナダを代表するワイン産地。BC州最大の都市バンクーバーから約400㎞ほど内陸に入ったあたりに位置します。カナダ唯一の砂漠地帯に位置し、南北約135kmにのびるオカナガン湖を中心に、東西を高い山に囲まれた渓谷で、南部では夏の日中の気温が40℃に達するほど暑くなりますが、北部ではよりマイルドな気候。様々な個性のあるワインが造られています。輝く湖を見下ろすなだらかな斜面に広がるブドウ畑の風景は、「世界でもっとも美しいワイン産地」として名前が挙がるほどの景勝地です。
(2)シミルカミーン渓谷 ― Similkameen Valley
オカナガン渓谷に隣接するシミルカミーン渓谷は、急斜面の山に囲まれた細長い渓谷。岩の多い山肌から放出される熱の効果で、日没後も高い気温に保たれます。風が絶えず吹くため乾燥しており、畑がクリーンに保たれるため、農薬等の散布をあまり必要としないという特徴もあります。オカナガンと違い大きな湖に面していないので、冬はオカナガンより寒くなります。土壌は、石や砂利が多く混じった、シルト質(粘性土)のローム層が中心です。メルロー、ガメイ、ピノノワール、カベルネソーヴィニヨン、カベルネフラン、シャルドネ、ピノブラン、ピノグリを中心に、リースリングやゲヴュルツトラミネールも造られます。
(3)フレーザー渓谷 ― Fraser Valley
フレーザー渓谷エリアと呼ばれる産地は、バンクーバーから車で1時間ほど内陸へ入ったラングリー南部、アメリカとの国境付近にあります。大部分は平野で、春と秋は降雨がありますが、7月・8月は灌漑を必要とするほど乾燥します。土壌はシルト質が多く、オーガニックの農園も多くあります。主にシャルドネ、ピノノワール、ドイツ系白ワイン品種等が栽培されています。
(4)バンクーバー島 ― Vancouver Island
バンクーバーの西の沖にあるバンクーバー島でもワイン造りが行われており、ダンカン近くのカウイチャン渓谷、ナナイモ付近、サーニッチ半島、ビクトリア近辺などの島南部にワイナリーが点在します。11月から4月にかけては降水量の多い地方ですが、夏は非常に乾燥し、灌漑が必要となります。ピノノワール、ガメイノワール、オルテガ、 ミュラートゥルガウ、ゲヴェルツトラミネール等が栽培される他、オカナガン渓谷産のブドウを使う造り手もあります。
(5)ガルフ諸島 ― Gulf Islands
ガルフ諸島は、ブリティッシュコロンビア州の太平洋沿岸とバンクーバー島の間にある、ジョージア海峡に点在する島々。ジョージア海峡付近はマイルドな気候で、1800年代後半から始まった果樹や園芸栽培が盛ん。近年ではブドウ農園やワイナリーも増えています。ソルトスプリング島やガブリオラ島、ペンダー島、サトゥーナ島、クアドラ島、ボウエン島等にて、ピノノワールやピノグリ、ゲヴェルツトラミネール、リースリング、シャルドネ等が栽培されています。

バロウイング アウル エステート ワイナリー
バロウイングアウルは、ブリティッシュコロンビア州オカナガン南部にある家族経営のエステートワイナリー。”寒い国“カナダのイメージからは想像が難しいかもしれませんが、メキシコから伸びるソノラ砂漠の最北端にあたり、カナダで唯一の”砂漠地帯”という、最もユニークなエリアに位置しています。オソユース湖の北岸近くにある砂質の高台の南西斜面は、この地方で最も評価さ ...
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