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オーストリア

オーストリアワインは今日、世界中のワイン業界の人々にもワイン愛好家達にも等しく高く評価されている。

地に足のついた生産者達の手作業によって造られるワインは、そのポテンシャルをブラインド・テイスティングにおいて繰り返し発揮している。特筆すべきは、オーストリアワインの他に替え難い、エキサイティングな特性で、その特性は7つの不可欠な要因によって構成される。

気候

オーストリアワインの独自性はその特別な地理的位置に由来する。

オーストリアの緯度はブルゴーニュと同じだが、気温差はより激しい。夏の暑い日中と冷涼な夜がここではキリッとした味わいのアロマティックな、同時にフルボディで洗練された個性を持つワインを生む。オーストリアワインのように偉大で、しかもさわやかで独特の美味しさを持ったワインを造れるような場所は、世界中探しても存在しない。

  1. 冷涼な北風
  2. 暖かい大陸性のパノニア気候
  3. 穏やかな地中海性気候

風土

 

オーストリアは比類ない素晴らしい生活の質を誇るゆったりとした国だ。オーストリアが世界中で最も魅力的な旅行先のひとつになったのは、このことと決して無縁ではない。

多くの観光客がオーストリアをヨーロッパで最もホスピタリティー溢れる国と認めている。そのことは特に絵に描いたように美しいワイン産地――44,900haにわたって広がる――についてあてはまる:ドナウ両岸にヴァッハウとニーダーエスタライヒの正統派産地群;シュタイヤーマークとその息を飲む丘の連なり;ブルゲンラントにはノイジードル湖周辺の自然の楽園;そしてウィーン――世界で唯一のワイン産地を擁する首都。

そして各産地のワインは、産地毎のキャラクターが独自であるのと同じくらいユニークだ。気候だけでなく土壌もそうした個性の重要な要素だ:ニーダーエスタライヒの結晶岩の段状斜面畑、或いは厚いレスの地層、北ブルゲンラントと南シュタイヤーマクの石灰の多い土壌、或いはカンプタールやヴルカンラント・シュタイヤーマークの火山性の土壌。こうして小さなワイン生産国オーストリアは、非常に多彩なワインを産することができる。そしてそれらのワインには、様々な違いはあるものの、完熟とフレッシュさの両極端のもらたすテンションという共通点が存在する。

Grüner Veltliner

ブドウ 品種

オーストリアはリースリング、ソーヴィニヨン・ブラン、ムスカテラー、そしてヴァイスブルグンダー(ピノ・ブラン)にとって、またシャルドネやピノ・ノワールといったその他の国際的な人気品種にとっても傑出したテロワールを持っている。

しかし真にユニークな財産は、地場品種で、フラッグシップとしてのグリューナー・ヴェルトリーナーだ。国際的な賞賛を受け、影響力のあるワインライターや出版物はグリューナー・ヴェルトリーナーを世界で最も偉大な白品種のひとつとして評価している。

また、隠れた秘宝――白品種のツィアファンドラーやロートギプフラー、或いはヴェルシュリースリング、そして美味しくて官能的な赤ワイン品種のツヴァイゲルト、ブラウフレンキッシュ、ザンクト・ラウレント、ブラウアー・ヴィルトバッハーなど――も存在する。

文化

ワインは二千年紀以上にわたってオーストリアの文化の一部であり続けている。今日でもローマ時代のセラーや中世の街並み、そしてバロック様式の修道院とその所有畑を、ワイン産地のいたるところで見ることができる。

オーストリアでは、このようなワインの長い伝統に深い敬意を払いつつも、それを現代ワイン文化の基礎として活用するというユニークなスタンスを取っている。オーストリアの現代ワイン文化は、オーストリアワインを品質的に新たなレベルに到達させるようなダイナミックな醸造家やワイナリーによって特徴づけられる。 しかしこの「再生」は、単に美味なワインそのものに反映されるのみならず、オーストリアのワイナリーの新たな建築ブームにも影響を与えており、国際的な関心と賞賛を集めている。オーストリアにおいては、実験的”ナチュラル”ワインシーンもまた、とりわけ盛り上がりを見せている。

若いワイン生産者たちは伝統的叡智を踏まえ、それを醸造学校や世界中のワイナリーで得られた経験と組み合わせ、自覚的に新たな道を切り拓いている。

自然に対する敬意

オーストリア人は自然を愛し、それゆえ自然に多大な敬意を払っている。環境保護、特に水質保護、健全で遺伝子操作をしない食品、生態的多様性、エネルギーと素材効率といった事柄は、この国の最優先課題だ。

そういう訳で、オーストリアの有機耕作面積の割合が、世界のトップにあることは驚くにあたらない:既に農地全体の27%、全ブドウ畑の16%がオーガニック農法のガイドライン*に従って耕作されており、そのうち5分の1はバイオダイナミック農法**。さらにオーストリアにはサステイナブルなワイン造りの公的認証制度も存在する。そして最後に、ブドウの大部分は今日においてもまだ手摘みされている。にもかかわらず――或いはそれだからこそ――昨今のワイン業界は非常にダイナミックな発展を遂げている。業績良好なワイナリーの数はコンスタントに上昇し、毎年新たな名前が国際的シーンに登場する。輸出高の急上昇カーヴは、最も成功しているニューワールドの国々の成長を見るようだ。

価値

家族経営のワイナリーがオーストリアのワイン業界の主流で、それゆえに大量生産はその中心的存在ではない

こうした産業構造や職人的手作業による高い労働集約性、厳しい収量制限の結果、ワイン生産国としてのオーストリアは、エントリーレベルの価格帯においては、例外的機会(豊作、特別なマーケティングやセールス…)にしか存在し得ない。

いずれにしてもオーストリアワインはすべての価格帯で傑出したお買い得品だ。多くの国外でも名の通ったワイナリーは、10~20€の価格において、国際的には通常それより顕著に高い価格を払わねばならない品質のワインを提供している。特に際立つのは、オーストリアのトップクラス・ワインの価格優位性についての国際的評判の高さだ、あるアメリカの主力インポーターかつワイン専門家は以下のように要約する。;「グリューナー・ヴェルトリーナーはファインワインの世界におけるグレーテスト・ヴァリューだ。価格を上げれば上げるほどコスパが上がる。」 この言葉はグリューナー以外の他のトップセグメントのオーストリアワインにも当てはまる。

フード・ペアリング

オーストリアワインはコンパクトなボディーと気候によるフレッシュな味わいによって、様々な料理――中欧から地中海諸国、果てはアジアの料理、エスニックからフュージョン料理まで――の理想的な相棒となる。

数多くの国際的な試飲会で、グリューナー・ヴェルトリーナーなどは、中華料理やその他多くのアジア料理にも素晴らしい相性であると認められています。

しかし、当然のことながらオーストリアワインは母国の料理文化に深く根差してもいる。簡単に言えば、それはシュニッツェルから寿司まで、様々な料理の理想的なパートナーなのだ。

オーストリアワインの概要