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カンパーニア州(イタリア)

はじめに

カンパーニア州は古くからのワイン造りの伝統がいきづき、近年では白ブドウ、黒ブドウともともに最高レベルのワインを生み出すことができるようになった地域です。カンパーニア州は50%以上が丘陵地帯、30%以上が山岳地帯と、地理的にもブドウ栽培に恵まれています。

カンパーニア州には2.5万ヘクタール以上のブドウ畑があり、黒ブドウの生産が盛んです。この広大な地域で場所により農法が異なっているとしても、主な栽培形態は伝統的な棚仕立てから垣根仕立てに変化しています。カゼルタでは接ぎ木が好まれ、アヴェッリーノ地区や高山地帯では一般的に苗木が広く普及しています。

 

歴史

カンパーニア州のワイン造りの歴史は古代にさかのぼります。古代ローマ時代以前、古代ギリシャ時代の到来とともに始まったと推測されます。事実、カンパーニア州にヴィティス・ヴィニフェラの種を持ち込んだのはギリシャ人でした。また同州の土着品種であるアリアニコ、グレコ、フィアーノ、ファランギーナ、ビアンコレッラ、ピエディロッソはギリシャ原産です。「アリアニコ」という名称は古代ギリシャ語で「ギリシャから来た」という意味に由来します。 

ギリシャがもたらしたものが、カンパーニア州のワインの成功の礎となりました。ローマ帝国時代にはカンパーニア州のブドウ栽培が盛んになり、そのワインはイタリア半島を越えて輸出されました。カレノ、ファウスティニアーノ、特にファレルノなど、当時の有名なワインの多くはカンパーニア州で生産されたものでした。 

ローマ帝国時代の終焉は、中世を通して続いたカンパーニア州のブドウ栽培の衰退を意味するものでした。この地域のブドウとワインにとって最も暗い時代部分でもありました。カンパーニア州における「うどんこ病」と「フィロキセラ」の到来は他の地域よりもかなり遅いものでしたが、それにもかかわらず被害は甚大でした。 

品質を求める時代は1980年代に始まります。近年のカンパーニア州のワインは白ワイン、赤ワインともに素晴らしい成功をおさめ、消費者の間で大きな関心を集めています。白ワインではグレコ・ディ・トゥーフォ、フィアーノ・ディ・アヴェッリーノ、ファランギーナ、赤ワインではタウラージやアリアニコと、さまざまな表情のワインがあります。それが今日のカンパーニア州を、ワインに関してイタリアで最も興味深い地域の一つにしているほんの一例に過ぎません。

主要DOCG、DOC

カンパーニア州の原産地呼称のうち「偉大なタウラージ」は長年にわたってDOCGとして認定されている唯一のワインでした。2003年にグレコ・ディ・トゥーフォとフィアーノ・ディ・アヴェッリーノがDOCGに追加されました。またカンパーニア州では土着ブドウ品種と国際ブドウ品種を共に使用した興味深いワインが生産されています。 

現在、カンパーニア州には4つ(白ワイン2つ、赤ワイン2つ)のDOCGと14のDOC(原産地統制名称ワイン)、10のIGT(地理的生産地表示ワイン)があり、この地域のワイン造りがいかに素晴らしいかを物語っています。

このほかにも素晴らしいブドウ畑が、ヴェスヴィオ火山のふもと、イスキア島(イスキアDOCG)、カプリ(カプリDOC)、ソレント半島(ペニソラ・ソッレンティーナDOC)、カゼルタ県(ファレルノ・デル・マッシコDOC)、ベネヴェント(アリアニコ・デル・タブルノまたはタブルノDOCG)、コッリ・デル・サンニオ(ファランギーナ・デル・サンニオDOCとサンニオDOC)とヴァッレ・カウディナにも広がっています。

コッリ・デル・サンニオについて

サンニオDOCの名前は、ナポリより北のベネヴェント県とアヴェッリーノ県の間、カンパーニア州の中心にあるの丘陵地帯にちなんでいます。アペラシオンの対象地域は、ローマ時代以前の古代人であるサムニウム人の土地であるサムニウムの歴史的なブドウ栽培地域です。この歴史的な文化遺産は大プリニウス、カトー、ホラティウスといった作家の作品にも登場し、彼らはサンニオのワインを「かすかにスモーキーな香り」「強烈な樹脂の香り」と表現しています。 

サンニオは1997年にDOCに認定され、高品質なブドウ栽培に理想的な気候をもつ丘陵地帯から収穫されたブドウを使用することが規定されています。もし湿度が高く、肥沃な土壌であれば収量制限をすることが難しく、高品質な製品を得ることができません。ヴァンガードワイナリーでは土着品種のブドウを通常使用しており、アリアニコ、コーダ・ディ・ヴォルペ、ファランギーナ、フィアーノ、グレコ、モスカート・ビアンコ、ピエディロッソ、シアシノソといった伝統的なブドウ品種が栽培されています。 

サンニオDOCの白ワインはグレコとファランギーナの2品種が基本的となり、トラディショナル製法によりスパークリングワインも生産されています。サンニオ・ビアンコDOCではグレコを最低50%使用しなければならず、残りはトレッビアーノ、コーダ・ディ・ヴォルペ、ファランギーナ、フィアーノ、モスカートがブレンドとして使用されます。 

サンニオ・ロッソはサンジョベーゼを50%使用し、残りはアリアニコ、バルベラ、ピエディロッソが使用されます。それぞれのアペラシオンのブドウの木が、それぞれの品種のワインに生命を与えています。 

5つのサブゾーンが存在するサンニオDOCは、イタリアで最も複雑なアペラシオンであり、300以上の異なるタイプのワインで構成されています。

ブドウ品種について

今月お届けするワインセットに入るワインに使用されている土着ブドウ品種をご紹介しましょう。

アリアニコ

アリアニコはギリシャ原産と考えられており、カンパーニア州のアヴェッリーノ県とベネヴェント県で主に栽培されています。アリアニコのブドウの木は火山性土壌を好み、その土地で最高の結果を生み出すことができます。タウラージDOCGのような偉大なワインはアリアニコからもたらされます。 

アリアニコから造られたワインは、大樽でも小樽でも木樽での熟成に適しています。木樽での熟成により若いワインのタンニンを和らげ、甘味を与え、繊細で調和のとれたワインを生み出すのに役立ちます。 

アリアニコが広く普及したことで、栽培地域の違いによる適応能力の高さ、環境による特徴の多様性が生まれました。これにより2つの品種が区別されるようになりました。アリアニコは主にカンパーニア州のタウラージで栽培され、アリアニコ・デル・ヴルトゥレはバジリカータ州に広く栽培されています。

ピエディロッソ

ピエディロッソはカンパーニア州、特にナポリ原産の黒ブドウ品種です。ピエディロッソのワインは美しいルビーレッド色を呈し、香りは若いワインではプラムやチェリーなどの赤い果実、第三のアロマとして木樽熟成のワインではコーヒーやタバコ、スパイスなどのニュアンスが感じられます。 

サンニオ地区のワインは、樹脂やスモーキーなアロマ、また小さな花の香りもあり、最高の表現としてバルサミコの香りも感じ取られます。ピエディロッソによく合う料理は、主に鶏肉やジビエですが、豚肉、ソーセージ、熟成されたチーズもよく合います。

ファランギーナ

ファランギーナは、グアルディオーロDOC、サンターガタ・デ・ゴーティ (パシートも)、サンニオ、ソロパカ、タブローノなどの単一品種のワインに見られるように、カンパーニア州の多くの高級ワインのベースとなるブドウ品種です。 

ファランギーナは主に気温が高く乾燥した気候の丘陵地帯で栽培され、房の大きさは長楕円形または丸形、果実の皮は熱く頑丈であることが特徴です。 

ブドウの醸造とワインの熟成は、ワインの芳香を守るため、木製の容器ではなくスチール製の容器で行われます。ファランギーナだけで造られたワインは、ほのかに緑色に輝き、暖かい麦わら色を呈します。軽い花の香りがあり、火山性土壌で栽培されているため果実とミネラルのアロマが感じられます。 

味わいは柔らかく、フレッシュで繊細、そしていきいきとした酸味が特徴です。ファランギーナは食前酒に最適ですが、前菜、魚料理、豆のスープ、魚介類のパスタ、肉、チーズ、季節の野菜にも非常によく合います。

グレコ

グレコは南イタリアで多くの生産地域名に付随しますが、特にカンパーニア州のグレコ・ディ・トゥーフォというDOCGでは、トゥーフォ市をはじめとする7つの丘陵地帯が含まれています。グレコ・ディ・トゥーフォDOCGは、フィアーノ・ディ・アヴェッリーノDOCGの3分の1の大きさですが、DOPワインの生産量としてはカンパーニア州最大のアペラシオンです。 

これらのブドウ畑の土壌では火山灰でできた凝灰岩が豊富に含まれており、トゥーフォの名前にもなっています。生産されるワインは最低85%のグレコを使用し、通常はコーダ・ディ・ヴォルペが残りの割合で使用されます。

グレコ・ディ・トゥーフォは収穫された年から飲み頃を3から4年で迎え、10から12年の熟成を期待することもできます。グレコからできたワインは香りが豊かで、ヴィオニエに似ており、かすかな草のニュアンスに桃のような香りがあり、熟成するとさらに強くなる傾向があります。

地元料理との組み合わせ

カンパーニア州料理の定番と言えば、水牛のモッツァレラチーズ、水牛のリコッタチーズ、サンマルツァーノトマト、アマルフィ海岸のレモン、ソレントのクルミがあり、またリモンチェッロもあります。ピザは基本的にふちが柔らかく膨らんでおり、ピッツァ ア ポルタフォリオ(お財布ピザ)や揚げピザ、ポテトクロッケ、ゼッポレという小さなオムレツにパスタが入ったものもストリートフードで楽しむことができます。

Mozzarella di Bufala Caprese

 

グラニャーノ市でで生産されるパスタ・ディ・グラニャーノは、ロング、ショート、ラザニア、加工されたパスタはイタリア最高品質を誇る代表製品です。デュラム小麦のセモリナと、グラニャーノの地元の帯水層の水から作られています。このシンプルな素材と自然乾燥の技術によって、パスタ・ディ・グラニャーノは名声を得ることができました。

アクア・パッツァ(イタリア語直訳で「狂った水」)とは、カンパーニア州の沿岸地方で、シーバス、真鯛、フエダイ、スズキなどの魚に使われる調理法です。「狂った水」の調理方法とは水、塩、油、ニンニク、プチトマトで魚を調理するものです。魚のアクア・パッツァは新鮮な魚の風味が引き立つ、低カロリーで健康的な調理法です。

ソレント風ニョッキはカンパーニア州料理でもっともよく知られた料理のひとつです。ソレント発祥のこの料理は、自家製ポテトニョッキを、フレッシュバジルの風味豊かなトマトとモッツァレラのソースにからめるというものです。次にニョッキの上にモッツァレラチーズやペコリーノチーズを乗せ、チーズが溶けて黄金色の皮になるまで焼きます。

その他の伝統的なナポリのお肉料理は、ナポリ風ラグーでカンパーニア州で非常に愛されている料理です。この肉とトマトソースの準備には時間がかかりますが、結果的に愛情をこめてよかったという甲斐があります。かつてドアマンが持ち場を守りながら調理していたことから、ラグー・ガルダポルタ(ドアマンのラグー)とも呼ばれています。ラグーには牛肉や豚肉のリブなどさまざまな種類の肉を丸ごと使用します。牛肉のステーキも含まれる場合には、松の実、ニンニク、パセリ、チーズ、調味料などを混ぜて巻くことが多いようです。